当院では月に60件程度、鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡手術を行っています。鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡手術は完全なソロサージャリーであり、把持や牽引など術野の展開、組織の剥離や切離、さらには縫合など、腹腔鏡手術の基礎的技術が詰め込まれているため、いずれが欠けても適切な手術が実施できません。また、一人で手術全体をマネージメントするためには、他臓器の損傷などトラブルシュートに対応する経験や技術、鼠径部切開法へのコンバートやハイブリッド手術、さらには再発手術や前立腺全摘後などの難症例に対する経験も必要となります。当院では一定数の手術件数を手掛けることで、これら多くの診療経験を積むことが可能です。また、もし技術的に不安な場合も、懇切丁寧に指導いたします。
当院で一定期間のご勤務及びご執刀をいただいた先生方には、分院長への昇格をお願いする場合があります。分院長は臨床業務だけでなく、臨床現場の責任者としての業務が伴います。責任が伴う一方で、とてもやりがいがある職務です。分院の存在意義は、手術件数の増加だけでなくグループ全体の診療体制を強化するために非常に重要なものであり、分院長を勤めていただくことは医師としてのみならず一社会人としても大きな成長に繋がることが期待されます。
当院はNCD(National Clinical Database)に手術症例の登録を行っており、専門医の維持(更新)が可能です。外科専門医や消化器外科専門医の更新には一定数の手術症例の経験とNCDへの登録が必要ですが、当院で行う手術はいずれの更新要項にも合致しております。専門医を保有しているが失いたくない、という先生方にとって、存分に手術を執刀し、それを無駄にすることなく専門医の維持に生かして頂く制度を整えております。
当院では鼠径ヘルニア手術に関する積極的な学会参加を奨励・支援しております。鼠径部切開法、腹腔鏡手術に加えてロボット手術の増加など、鼠径ヘルニア手術を取り巻く環境は年々変化しており、最新の知見を集積することは専門医として必要不可欠と考えます。当院におきましては、年に一定回数、学会に参加して鼠径ヘルニア手術に関する知見を集積していただき、大いに臨床に還元して頂きたく存じます。